
こんな質問に答えていきます。
『ローボール・テクニック』とは、まずは好条件だけを提示して、その好条件に承諾していただいた後に、悪条件を付け加えたり、好条件を取り除いたりする交渉術です。
普段の交渉をした場合に比べ2倍以上の効果を発揮するため、営業や恋愛で活用されることが多いです。
本題に入る前に、ここで『ローボール・テクニック』とはどういったものなのかと、本当に2倍以上の効果を発揮するのかを説明します。
ここでは、アメリカの心理学者ロバート・B・チャルディーニによる『ローボール・テクニック』の実験を紹介します。
<実験>チャルディーニは学生(被験者)に対して頼み事をし、その承諾率を調べた。
- パターン1:「研究の為に7時に大学に来てくれないか?」と依頼する。
- パターン2:「研究に協力してくれないか?」と依頼し、承諾後に「実は研究は7時からなんだ」と付け加える。
パターン1は、承諾率が24%に対し、パターン2の承諾率は、56%という結果になりました。
この実験からパターン2のローボール・テクニックが有効であるということが分かりますね。
本コンテンツの内容
- ローボール・テクニックとは
- ローボール・テクニックの具体例
- ローボール・テクニックが有効な理由
この記事を最後まで読むことで、ローボール・テクニックを理解することはもちろん、日常で使いこなるようになりますよ。
ローボール・テクニックとは?
ローボール・テクニックとは、まずは好条件だけを提示して、その好条件に承諾していただいた後に、悪条件を付け加えたり、好条件を取り除いたりする交渉術です。
ローボール・テクニックの名前は、キャッチボールの際に、「低い捕球しやすいボールからやっていけば、高くて捕球しにくいボールでも受け取れるようになる」に由来しています。
ローボール・テクニックの具体例
ローボール・テクニックの概要だけでは、イメージがなかなかつかないと思うので、ここで具体例を2つほど紹介します。
ローボール・テクニック:職場での具体例
A:B君、今忙しい?仕事手伝ってくれないかな?
B:忙しくないので、手伝いますよ!
A:この仕事、明日の朝イチまでに終わらせないとダメなんだよね。一緒に頑張ろうか!
B:あ、はい。(確実に残業じゃん。でも手伝うって言ったし断れないよな。)
ローボール・テクニック:恋愛での具体例
A:今度、Cさんと3人で食事でもどうかな?
B:いいですよ!
A:Cさん来れなくなったみたいだけど、2人でも大丈夫だよね?
B:あ、はい。(1度いいよって言っちゃたしな...。)
ローボール・テクニックが有効な理由
ローボールテクニックが有効な理由は、『一貫性の法則』という心理法則があるからです。
一貫性の法則:行動や発言、態度、信念などに対して一貫させたいという人間の心理
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このように周りに話してしまったり、宣言したことは続けてしまうという心理法則が一貫性の法則です。
そのため、一度相手の要求を承諾した場合、その態度を一貫させようと、条件が変わったとしても承諾してしまう傾向があるため、ローボールテクニックは有効なのです。
『フット・イン・ザ・ドア・テクニック』との違い
ローボール・テクニックと類似した交渉術として『フット・イン・ザ・ドア・テクニック』も有名です。
ローボール・テクニックをより一層理解するためにも、『フット・イン・ザ・ドア・テクニック』との違いを理解しておきましょう。
フット・イン・ザ・ドア・テクニック:まずは小さな頼みごとを承諾させてから、徐々に大きな頼みごとを承諾させていくといった手法。
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しかし、大きく違う点があります。
フットインザドアは要求を個別に提示していくのに対し、ローボールテクニックでは要求の内容自体には一貫性があるものの、本来の条件は相手に知らせないという特徴がありますね。
ローボール・テクニックの対処法
ローボールテクニックの1番の対処法は、『ローボール・テクニックという交渉術がある』と知っておくことです。
ローボール・テクニックという交渉術があると知っていれば、『これはローボールテクニックを使われているな』と見破ることができますよね。
ローボール・テクニックを見破った上で、『後から提示された条件も考え、承諾すべきか』を改めて考えましょう。
- 一度承諾してしまったしな
- 今更断ったら、嫌な思いをさせるんじゃないか
という配慮は、一切不要です。
ローボール・テクニックに対処する為には、このような感情をあえて無視し、合理的な判断を下すようにしましょう。
まとめ:ローボール・テクニックは無闇矢鱈に使うと危険
本記事では、『ローボール・テクニック』について解説していきました。
ローボール・テクニックは使い方によっては、信用を失うため、かなりのリスクがあります。
そのため、ローボール・テクニックを使う際は、謝罪の一言を添えてから、条件を変えるようにしましょう。
とはいえ、信頼関係を今後も築いていきたい相手には、使わないことをおすすめします。